瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

如月望月

「ねがはくは 花の下にて 春死なん そのきさらぎの 望月のころ」
西行法師の歌だ。
この歌についてよく言われるのは、きさらぎの望月のころ(二月十五日頃)に、はたして桜は咲くのかって事だ。
これは、もちろん旧暦の話。
たとえば、今日、3月30日は旧暦の二月十五日。満月。
桜は五分咲き。まさに、きさらぎの望月のころの、桜の花だ。
これは、別に珍しいことじゃない。
それから、「春死なん」って言ってるけど、西行法師は文治六年二月十六日に入滅している。
これは、新暦にすると1190年3月23日。きっと、桜も咲いていたんだろう。
願いどおり、きさらぎの望月のころに、花の下で亡くなったってこと。
でも何で、その日にこだわったのか。
それは、お釈迦様が二月十五日に入滅したから。
そうやって考えると、これは単なる月と花の歌じゃなく、死に方にこだわった、すさまじい煩悩の歌ってことになる。