瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

2013-01-01から1年間の記事一覧

一本道

暗い中、細い一本道をたった一人で歩いていた。 先に何があるかもわからず、でこぼこで歩きにくい道。 時として、歩きにくい道をわざわざ選んだようにも思う。 それが、少し明かりがさして、まわりがぼんやり見えてきた。 道は細くはなく、でこぼこでもない…

水のめぐり

地球は水の星っていうね。 水は、液体・固体・気体の三つの体をなし、絶えず変化をくりかえす。 生命にとって不可欠の「水」、それが今や脅威になっている。 気温が上昇して、北極や南極、それに氷河の氷がとけて海に流れる。 海水温も上昇してるから、海の…

風のやみし夜半に

むしのねにきえなむほとのこへゆゑにわかこころもてきみかねをきく 虫の音に消えなむほどの声ゆゑに 我が心もて君が音を聞く

虫すだく夜に

ゆめにてもあはむとそおもふおろかさにこよひはふかきさけをのむらし 夢にても逢はむとぞ思ふおろかさに 今宵は深き酒を呑むらし

寒暑

寒なれば震いして熱を生ず。 暑なれば汗して熱を散ず。 これ、恒温の動物なればなり。 いにしえのギリシアびと曰く『ホメオスターシス』と。

秋明菊によせて

われしらすたれをおもふやこのよひはかりかねをきくしゅうめいのつき 我知らずたれを思ふやこの宵は 雁が音をきく秋明の月

バカ

やっぱり、バカがいい。 こっちがバカだからって、自己弁護するわけじゃない。 バカって言っても、本物じゃないんでね。 こう見えて、浅知恵が働くほうだから、まだまだ修業がたりないってこと。 浅知恵なんてものは、早く捨て去りたいもんだ。 それに、知識…

写真

最近、めっきり写真を撮らない。世間では、写真を撮る人は増えているのにね。それほどのものじゃなくっても、とりあえずデジカメで撮る。メモリーの容量が大きいから、ほとんど無制限に撮れる。フィルムは24枚とか36枚とか限りがあるから、大切なシーンだけ…

月とすっぽん

天と地ほどのへだたりがあることを、「月とすっぽん」って言うね。語呂がいいから口にしやすいけど、なんで「月」と比べるのに「すっぽん」を引き合いに出したんだろう。「月と亀」でもいいようなもんだけどね。「丸」って、すっぽんのことを呼ぶところがあ…

F1

F1、車じゃなくて、野菜の種の話。 一代交配種のこと。 おおざっぱに言うと、昔ながらのを固定種と呼び、かけ合わせて親の良いとこ取りをしたのを、一代交配種(F1)と呼ぶ。 F1は、丈夫で成長が早く、均一に成長するうえ、収穫量も多い。 色や形が美しく…

夕立

自動ドアの外は、ムッとする暑さだった。それでも、駅へ向かう途中、ときどきヒヤッとする風が吹きはじめた。空が灰色になり、遠い景色がもやってきた。これは、来そうだな。急いで家に戻り、しばらくすると、鬼のように雨が降り、割れそうなくらい空が鳴っ…

スギナ茶

こう暑い日がつづくと、一番呑みたくなるのが、冷たいビールだな。これは身体が欲しがる。二番目に飲みたくなるのが、熱いスギナ茶だ。大汗かいて、フウフウ言いながら飲む。これは五臓六腑が欲しがっている。味は説明しにくいけど、変な味ではない。どっち…

そうじ

そうじは、何をそうじするのか。 汚れた畳を雑巾でふくと、雑巾が汚れる。 その雑巾をバケツの水で洗うと、バケツの水が汚れる。 結局のところ、汚れを別のところに移してるだけで、汚れそのものはなくならない。 ならば、清浄も不浄もないってこと。 しても…

多数決

多数決って、こわいね。 内容の良し悪しにかかわらず、多くの人が支持さえすれば勝ちになる。 逆に、多くの人が支持するんだから、それが良いんだと思い込んでるふしもある。 これは、こわいよ。 一人一人の資質は問われないから、考えてる奴の一票もバカの…

梅雨入り

東京は5月29日に梅雨入りした。史上3番目の早さだってね。それでも、梅雨入りしてから一向に降らない。今度は、空梅雨だって騒いでる。もともと梅雨ってのは、旧暦五月頃に降りつづく長雨。別名、五月雨(さみだれ)。今年の5月29日は、旧暦で言うと…

身体の中で起こっていることは、全て顔にあらわれる。 たとえば肝臓をやられたら、目が黄色くなる。 こっちは、ここ3ヶ月ほど胃だか腸だかの調子が悪かった。 それとは別に、ちょうどその頃から、額のシワが深くなったのが気になっていた。 胃も額のシワも…

ハウスみかん

もう夏なのに、みかんを売っている。 いや、まだ夏なのにみかんを売っている。 路地もののはずがない、ハウスみかんだ。 これは、冬にハウスを暖めて、夏と思わせて花を咲かさせる。 実がなると、ハウスを開けて冷たい夜気にあて、秋になったと思わせて、実…

聖職

聖職って、何だろう。 辞書をひいたら、「神聖な職務」とある。 『職業』じゃなくて、『職務』か。 『業』と『務』のちがいは何だ。 『業』は「なりわい」、つまり飯のタネだ。 『務』は「つとめ」、つまり自分のなすべきこと。 金の動きに従って仕事をする…

母子手帳

母子手帳が出てきた。 古い紙とインクの匂いがする。 もっと言えば、うちにあった箪笥の引き出しの匂いだ。 そこには、こっちが生まれた時から3歳ぐらいまでの様子が記録してある。 数字が書いてあるだけだけどね。 それでも母親は、桐箪笥の引き出しに、大…

チラシ

仕事帰り、外の階段でチラシが一枚、風に吹き寄せられていた。 玄関の前まで来て、そうだ、あれ拾って捨てればよかったなと思う。 戻って拾おうかとも考えたけど、面倒だからやめた。 何も思わず拾ったなら、良し。 良かれと思って拾ったなら、悪し。 人目を…

フェンネル

畑やってる人に、フェンネルをもらった。初めてだ、何に使おうか。ふさふさした糸みたいな葉っぱを噛んでみたら、不思議な味がした。どこかで喰ったことのあるような味。とにかく、魚料理に使ってみる。イナダを三枚におろし、シンプルにソテーする。フェン…

貪欲

こっちは、おせじにも貪欲とは言えない。育ちが良すぎるんでね。うちは金が無くて、金に縛られることがなかったから、ある意味おっとりと育った。何が欲しいとか、何がしたいとかってこともあんまりなかったね。だから、バカと言ってもいい。じゃあ、損する…

蛹(さなぎ)は不思議だな。幼虫のときは、あんなにモリモリ食って動き回ってたのに、急に固まっちゃう。固まったと思ったら、脱皮して蛹になる。繭の中で蛹になるのや、土の中で蛹になるのもいるけど、むきだしのまんまのもいる。戦えないし逃げられないし…

水紋

雨の池を眺めていた。木々の緑がぬれている。雨音は心に静かだ。水面に落ちる雨粒が、たえず水紋を描いては消える。水紋って、真円なんだな。まったく歪んだところがない。雨粒が描いているのか、それとも池の水が描くのか。その無心の円は、先に生まれ後に…

アイドル

「人に好きになられるのは、もう、いやなの」濡れた瞳がつぶやいた。「そんなこと、言っちゃ、ダメだよ」心とうらはらに、そう突き放す。「私は、人を好きになりたいの!」アイドルにそんなこと言われたら、勘違いしちゃうよね。これ、夢の中の話だけど。不…

草食

生後10ヶ月ぐらいで大病を患い、長いこと食べ物を受け付けなかったそうだ。3歳ぐらいまでの写真は一枚もないし、親もその頃の話はしなかった。それ以後も食が細く、身体が弱かったから、親は何とかして食べさせようとした。それでも、腹が減ったとか、何か…

時計の針は止められても、時の流れは止められない。 1日たてば1日分、1年たてば1年分、いやでも歳をとっていく。 時の経過を劣化と感じるようになったのは、いつ頃からだっただろうか。 何歳ごろからっていうより、身近に死と接し、それを内面の出来事と…

ちっぽけな事

小3の授業参観の時、あの子に腕をつかまれて、教室の後ろに連れて行かれた。 「これが瞳君。いつも面白いことばっかり言ってるの」 そう紹介されて、母君は少し微笑んで、こっちは少し赤くなった。 父君が国会議員で、選挙になると学区内にポスターが貼られ…

ゴールデンウイーク

ゴールデンウイークか、良いんだか悪いんだかなぁ。あれは、映画業界の宣伝用語だ。1952年頃から使われ始めた。当時は、今ほど大型の連休じゃなかったけどね。週休二日なんてなかったから、土曜も仕事のところが多かった。振替休日もなかったから、祝日が日…

美人

いつも美人といられたら最高だ。 そりゃそうだろうよ。 でも、世の中、美人ばかりじゃない。 少ない中から選び抜くってのも一つの方法だけど、先方にも都合があるんでね。 それよりも、美人になってもらうってのが、お互いにとって幸せだな。 人は、好きな人…