瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

チラシ

仕事帰り、外の階段でチラシが一枚、風に吹き寄せられていた。
玄関の前まで来て、そうだ、あれ拾って捨てればよかったなと思う。
戻って拾おうかとも考えたけど、面倒だからやめた。
何も思わず拾ったなら、良し。
良かれと思って拾ったなら、悪し。
人目を気にして拾ったなら、なお悪し。
一体何を考えることがあるんだろう。
チラシはただ、風に吹かれてあそこにあっただけだ。
もし、あれがチラシじゃなくて木の葉だったら、あるいは一万円札だったら。
いずれにしても拾わなかっただろうけど、明日どうするかなんて分からない。
人の世に生きるってことは、常に心を動かし、心を動かされるってことだからね。
ひとえに風の前の塵に同じってこと。
こっちもチラシも、そんなに違いがないんでね。