瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

2013-01-01から1年間の記事一覧

西山

まわりは建物だらけだけど、唯一、西の方のビルの間に、ほんの少し山が見える。 京都の友達が病気だと知ってから、毎日、その山を見るようになった。 あいつの住む街の方角に、その山があるんでね。 朝起きて、山がスッキリと見えると、今日は少しいいのかな…

包丁

包丁は、切れなきゃダメだと思ってた。 だから、包丁を研ぎ、味覚を研ぎ澄ますんだ。 美味い料理を作るためにね。 でも、実のところ、美味いって言わせたいだけじゃないか。 随分と、薄っぺらなことをやってきたもんだ。 婆さんが、切れもしない包丁でこしら…

声は良いにこしたことはない。 良いったって、どういうのが良いのかって話だけどね。 よく言う、鈴をころがしたようなってのが一番良いとも限らない。 少し鼻にかかった声もいい。 あと、すこーしかすれた声も好きだ。 いわゆる、佃煮を売らせたくなるような…

自分

他人の心はわからない。 分かったところで何になる。 自分の心も分からないのに。 他人の姿は見えるけど、自分の姿は見ることができない。 鏡があると言うけれど、映るのは、見ようとして見る姿だから、いつもの自分の姿ではない。 結局、一番わからないのが…

多生の縁

袖すりあうも多生の縁っていうね。 往来で袖がふれあった程度のことすら、前世からの縁あってのことらしい。 縁ってのは不思議だ。 どうしたってそうなっちゃうんだから。 例えば、何かの集まりで、好き勝手に席に座るとする。 お互い初対面同士で、どういう…

琵琶湖周航の歌

人生の大先輩たちの会合に顔を出させてもらって、しょっぱなに『琵琶湖周航の歌』をみんなで歌った。これ、知ってるけど、歌うのは初めてだ。 ♪我は湖(うみ)の子 さすらいの 旅にしあれば しみじみと 昇る狭霧(さぎり)や さざ波の 滋賀の都よ いざさらば…

つまみ食い

「一番好きな食べ物は?」っていうから、「つまみ食い」って答えたら、「それは、食べ物の種類じゃない」と言われた。 そりゃそうだ。 でも、つまみ食いが一番だな。 料理しながらつまみ食いして、出来上がりが半分ぐらいになることもある。 そのかわり、食…

モテる

何かをする動機の一番は、「モテたいから」だろう。 この動機は、不純どころか純粋無比だ。 とくに若い男の動機のほとんどがこれだ。 女子の動機はどうなんだろう。 男ほど単純じゃないのかもね。 年とっても、モテたいって気持ちはあるんだろうけど、ナニが…

割り振り

人生、いたるところに出会いがある。 すばらしい出会いがあれば、とんでもない出会いもある。 派手にあらわれる者あり、地味にあらわれる者もある。 これはって人と、すばらしい出会いに恵まれても、「どうして今なんだ」ってタイミングもある。 こっちの都…

成仏

死後、魂がちゃんとあの世に行くことを『成仏する』って言う。 でも、多分、成仏できない魂であふれているね。 生きてる間に、ちゃんと自分のことが分かって、人の気持ちも分からないと、何が起きても納得が出来ない。 納得できない状態で死んだら、どうした…

春雨

雨の日の桜が好きでね。濡れると花は美しくなる。もやっていると、もっといい。なんとなく輪郭がはっきりしなくなって、あいまいになって、たまらない感じになる。傘をとじた時、花びらがついていたりすると、花の精を連れ帰ったような気分になる。だから、…

手を振る

人と別れるときに、どうして手を振るんだろう。 そう教えられたわけでもないのに。 手を振ることに、どんな意味が込められている。 多分、また会いたいって思いが、込められてるんだろう。 ケンカ別れする時に、手を振っちゃ変だもんねぇ。 それじゃあまたっ…

散る

桜は散るね。見事に散る。戦時中は、その散り際を、潔い死にたとえて讃える風もあった。こっちは、散ることを終わりとは思わない。むしろ、枝に固定されていたものが解き放たれるさまに、始まりを見る。咲くことが、美の極みってわけでもない。散り際は、静…

墓参り

寺に見事な桜があるから、花見をかねて墓参りに行く。墓前にはすでに花が供えられていて、線香受けにタバコが置いてないところを見ると、弟ではない。多分、叔父夫婦だ。叔父にとって、うちの親父は兄貴だし、ともに眠る祖父母は、父ちゃん母ちゃんにあたる…

ソメイヨシノ

ソメイヨシノは、『染井吉野』と書く。江戸時代の終わりごろに、江戸の染井村で作られた品種で、奈良の桜の名所の吉野山にちなんで、『染井吉野』って名づけられた。エドヒガンとオオシマザクラの交配種らしいね。これ、人工的に作られたもんだから、種はで…

詩が書けたらいいな。昔は、「あんな気どったもん書けるか」って思ってたけどね。でも、気どってちゃ、心に響く詩は書けない。どうしたら、心をそのまま出せるんだろう。多分、まだ気どってるんだろうね。人の心を知りながら何も知らないふりをして泣いた心…

強風

ここんとこ、極端に風の強い日が多いね。冬の空気と春の空気の落差が大きいから、これほど強い風を生むんだろう。それにしても、いろんな物が飛んでくるから危ない。これだけ風の力を目の当たりにすると、このエネルギーを使って発電しようって思うのも、分…

彼岸

彼岸は、一年に2度ある。お盆は1度なのにね。ところで、彼岸って何だろう。サンスクリットの仏典に『パーラミター』ってのが出てきて、これは「向こう岸に渡る」って意味。音を漢字で当てて『波羅蜜多』と書く。漢字で意訳すると『倒彼岸』になる。彼岸は…

セロリ

昔の日本人は、ああいう匂いのするものは喰わなかった。それが、今じゃ和食でも使う。セロリの漬け物なんて美味いよね。こないだ、ミートソースの仕込みにセロリの茎を使ったら、青々した葉っぱがたくさん残った。これで、セロリの葉っぱのスパをこしらえる…

究極の選択

うちに子どもが生まれたとき、友達が言った。「奥さんと子どもが川でおぼれてたら、どっちを助ける?」どっちもに決まってるじゃないか。「子どもはポーンと岸に投げといて、女房をかかえて岸まで泳ぐ」って答えたら、「それじゃ、究極の選択にならない」っ…

3月14日

3月14日は、ホワイトデー。バレンタインデーのお返しをする日だ。バレンタインデーってのは、キリスト教の関係の記念日らしいけど、ホワイトデーはキリスト教とは関係ないみたいだ。日本とか韓国とか、アジア方面が中心の行事らしい。こっちは曹洞宗だから、…

変わらない

何十年ぶりかで会った仲間とかわす言葉。「ぜんぜん変わらないね」マジで変わってないのもいれば、本当は変わり果てたやつもいる。こっちもよく、「変わらない」って言われる。体型も体重も変わってないから、見た目はそれほど変わってないのかも知れない。…

良心

“良心碑”ってのが、同志社大学のキャンパスにある。『良心之全身ニ充満シタル丈夫(ますらお)ノ起リ来ラン事ヲ』これは、新島襄が生徒に送った手紙の一部。一国の良心たる人物を、世に送り出そうっていう強い志を表している。昔は、良心って言葉が今より日…

チャン・チャン

チャン・チャンを聞くとなぜか涙になる。ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの曲。 ♪ ファニカとチャン・チャンが 海で砂を篩(ふるい)にかけたとき 篩があんまりゆれたので チャン・チャンは照れてしまった ♪訳詞には“篩(ふるい)”って書いてあるけど、本…

ムショ仲間

19のころ、しばらく世話になった連中。こっちは一足先におさらばしたけど、あとになって何度か集まって呑んだことがある。中には、今でもあそこでオツトメしてるのもいるらしい。浪人中の春、確定申告の繁忙期に、税務署でバイトしたことがあってね。税務署…

わざと悪いことをしようと思ったことはない。それでも、悪いことをしてしまったことは山ほどある。悪いことは、したくないね。でも、悪いことをしないように生きようとすることが、良い生き方なんだろうか。良かれと思ってやったことで、誰かを傷つけ、心が…