瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

散る

桜は散るね。
見事に散る。
戦時中は、その散り際を、潔い死にたとえて讃える風もあった。
こっちは、散ることを終わりとは思わない。
むしろ、枝に固定されていたものが解き放たれるさまに、始まりを見る。
咲くことが、美の極みってわけでもない。
散り際は、静から動への転換点だ。
どこ吹く風の花びらは、心を自在に解き放つのさ。
川面を流れる薄色に、この世の無常を見る人もいる。
無常なんてものは、見ようとしなくったって、いつでもそこにあるもんだ。
今さら言っても始まんねぇや。
こっちは、死んだ奴の分まで、良くも悪くも生き抜くだけなんでね。