瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

あたら夜 再考

枝垂桜の下を歩いていて、ふと思った。
「あれは、やっぱりちがうな」
  あたら夜の月と花とをおなじくは
   あはれ知れらむ人に見せばや
「もったいないような今宵の月と花とを おなじことなら ものの趣を知るような人に見せたいものだ」
この解釈は合ってるけど、心がない。
“ものの趣を知るような人”なら、“見せたい”なんて言われなくても、月と花ぐらいとっくに見てるよ。
だから、見せたいのは、月と花だけじゃないってこと。
“月”は女だから“わたし”で、“花”は愛らしいから“子ども”のことだ。
「もったいないようなこんな夜には 月と花とおなじように わたしとこの子の姿を 心を知っている人(あなた)に見せたいものよ」
当時の結婚は、男が女のもとに通う、通い婚だった。
この歌の作者とされる源信明は、中務って女と情を通わせ、女子をもうけたと言う。
だからこれ、本当は中務のかもね。