瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

ここに、刀がある。
欲しかったわけではなく、たまたま家に伝わったものだ。
刀は、ただの鉄の塊とも言えるが、人殺しの道具でもある。
現在、日本刀は武器ではなく美術品扱いだが、古の刀匠が精進潔斎し、鍛え抜いて拵えた以上、そこには美を超えた何かが存在するように思う。
その刀を、自分が所有することになった時、この手にあることの意味を思った。
負けた者の刀は分捕られ、攻め落とされた城は乗っ取られるから、刀は勝者の手に残る。
こよみ屋が、勝者になるとは?
誰も曲げることのできない「時の流れ」を、意のままにすることか、それとも、ありのままにすることのどちらかだ。
時の流れをありのままにすることが、人々をありのままに生かすことになるのなら、穏やかな世の訪れが、こよみ屋の刀を輝かすことだろう。