瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

ろうそく

畳の部屋で正座して、木の書見台に向かい、ろうそくの光で本を読んでいる人の図を、目にしたことがある。
昔の暮らしは簡素で、家の中にもあんまし物がない。
その上、ろうそくの光の届く範囲はごく狭いから、本しか目に入らないし、ろうそくの火のジーッと言う音しか聞こえない。
それはものすごい集中の場だ。
だから、昔の学問には深い味わいがある。
うちの部屋は、思いつきで買ったような物であふれ、電気をつければ、それらはいやでも主張し始め、無意識に情報として入って来てしまう。
いらんもんを処分するのが第一だが、先ずは、ろうそくをつけてみる。
暗くってしょうがない分、余計なものが目に入らない。
少し慣れれば、文字がワッと迫ってくるし、内容が立体的に入って来る。
それは、全く別の世界だ。
創造性の次元が違う。
情報が溢れて消化不良を起こしそうな時は、迷わずろうそくをつけろ。