瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

茶がら

たいして広くもないし、ごちゃごちゃしてるから、掃除はほうきの方が小回りがきく。
きゅうすから茶がらを出し、ギュッとしぼって部屋にまく。こうすると、ホコリも立たず塵もまとまる。
そうじ中は不思議と何も考えていない。ただ心の中にあるものが流れて行くだけだ。
そして、そうじが終わる頃には、茶の香りが部屋中に漂い、空気まで清められたようになっている。
塵取りの中には、さっきよりふくらんだ茶がらが相当量入っている。
きゅうす一杯分のお茶っ葉って、生の時はこんなに沢山だったんだと思ったら、一杯の茶のために茶の葉を摘んでくれた人々に、心からありがとうを言いたくなる。
時間の無駄だから、電気を使って吸い込んじまえばいいという考え方もある。
だが、清掃とは心を清める儀式だと、一握りの茶がらが教えてくれた。