瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

ビデオ

4年程前にブラウン管のテレビがこわれて、このままテレビ無しの生活に入ろうかと思ったが、反対され、液晶のを買った。かさばらなくていいが、今度はテレビの下に敷いてたビデオデッキが邪魔になり、結局、押入の中にしまった。
「ビデオが見られない」って文句を言われたのも3日ぐらいのもんで、以後、全く不便はない。むしろ、あれ録っとかなきゃとか、録ったやつ見なきゃって思わなくていいから、精神的に楽になった。
自分の時間の流れとは、別の時間の軸の上を流れ去るべき出来事を、わざわざストックしておいて、キュルキュル戻して見ようってのは、生命にとって、あってはならないストレスだ。
仕事でコンピュータ画面、あい間に携帯の画面、家ではテレビの画面、とどめにビデオの画面を見る。すき間なく映像でうめつくされて、息つく間もない。
こっちは、ぼんやりだから、朝はスズメのさえずり聞いて雲を見る。夜は月を眺めて風の音を聞く。
だから、別にどうってこともないし、たとえどんなに綺麗で、見せてあげたいなと思っても、とっといて巻き戻すことなんてできない。
今、見えるものだけ、ちゃんと見ときゃあ、それでいい。