瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

提灯

もうすぐ秋祭りだから、あちらこちらで提灯がゆれてる。
さすがに蝋燭じゃなくて電球だけど、むしろ、蝋燭の入ったのを見たことの方が少ないから、電球でも充分にノスタルジーだ。
満月は産婆の提灯って言って、満月の夜は出産が多くて産婆さんが忙しいってことらしい。
人は満ち潮のときに生まれ、引き潮のときに死ぬ。
全く自然のまんまならその通りだろうが、病院に管理された出産や、機械に制御された臨終なら、この言葉は当てはまらない。
今や、生き死にすら、自然の摂理の外にあるらしい。
一杯飲み屋を赤提灯って言ったもんだが、あまり見かけなくなった気がする。
路地裏で、ふと赤提灯に出くわしたら、寄ってこうかと思うけど、今の街中明るすぎで、提灯なんかじゃ目立たない。
だから、みんな強烈な光の方に引き寄せられちゃう。
鼻提灯も見なくなったが、近所の亀が時として、鼻提灯を出して昼寝をしている。
その水槽の張り紙には「ぼくはカメのリョウ君です。リョウさんと呼んでください」と書いてある。