瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

川越祭

この街で子どもの頃をすごし、祭りには、町内の山車を引いた思い出がある。
昔は、時の鐘なんぞには誰も見向きもせず、蔵造りの街並みは、むしろその佇まいを隠すように、ひっそりとしていた。
昨日、久々に祭りを訪れてみると、古臭かった街が、きっちりと古い街並みに蘇っていた。一言で言うと、いい街になっていた。
NHKの朝ドラ効果か、人出は多かったが、そぞろ歩く人波は、不思議と静かで、あちらこちらのお囃子だけが響いていた。
夕方に少しパラついたから、夜の空気はしっとりとして、やや靄っており、蔵造りの商家からもれる灯りが、影絵になって、小林清親の光線画を見るようだ。
帰りは、人ごみを避け、裏通りを歩いた。
月もなく暗い路地に、軒に提灯を灯した家があり、虫の声が遠く聞こえる。
駅に着き、電車に乗ったら、よけいに不思議な気分になった。
川越は旧暦の似合う街だな。ふと、そう思う。
もしかすると、この街で、子どもの頃を過ごしたから、今、旧暦の暦を書き、旧暦の普及を志しているのかもしれない。