瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

聖橋

今日、聖橋を渡った。
JR御茶ノ水駅は、道路より低いところにあり、聖橋は駅をまたいで、神田川の上に架かっている。
駿河台方面から進むと、右手に湯島聖堂の緑青色の屋根があり、ふり返れば、ニコライ堂の青緑色の丸屋根が見える。
聖橋の名は、この二つの聖堂を結ぶ位置にあることに由来する。
左前方には、神田川の深緑色によどんだ流れに沿って、木々の緑がこんもりとある。
以前、夜の御茶ノ水界隈の浮世絵を見たことがある。
それは、蛍狩りか何かの図で、暗い夜に舟の明りと蛍の光を、舟からの低い目線で描いてあり、静けさの中に、かすかな水音を聞いたような気がした。
今の聖橋のあたりは、ビルだらけだし、人も多いが、それでも都心とは思えない静けさがあるのは、川と緑のあるおかげだ。
御茶ノ水って地名は、昔、将軍家にお茶用の水として献上したほどの、いい水が出たからで、もともと水の豊かな土地なんだな。
神田川の水を、掌にくんで飲めるようにするのは容易じゃないが、蛍の舞う水辺をよみがえらせることは、その気になれば出来ると思う。
ただ、御茶ノ水の聖橋あたりで、蛍狩りができるなんて、今まで誰も、思いもしなかったってだけのことだ。
でも、昔はたしかに蛍いたんだもんね、孔子さん、ニコライさん。
ただ当たり前の世の中にするだけで、蛍ぐらいいくらでも蘇ると思うけどね。