瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

銀杏並木

明治神宮外苑の銀杏並木が、黄葉の見頃だ。
絵画館を正面に、色づいた銀杏並木が、左右対称に、遠近法通りに美しく伸びている。
80年以上も前に造られた景色で、当時とほとんど変わってない。ありがたいことだ。
丁度、いちょう祭りの最中なんで、すごく人出が多かった。年々、多くなっているような気がする。
同じ青山近辺でも、おしゃれな洋服屋がズラッと並ぶ通りに、人が溢れるのよりは、並木道に人がぞろぞろいる方がいい。
洋服屋よりも、並木道ってのは、景気のせいもあるだろうが、多分、みんなが気づきはじめたってことだろう。
人を寄せ集める仕掛けや、その人たちに金を使わせるモノは、もう時代が求めてはいない。人は、憩える場所を求めている。
癒しって言葉が、流行ったことがあったけど、流行が去ったのと同時に死語になったわけではない。あの頃は、それを切り口にして、物を売ろうとあおってただけで、癒しが大切なことに今も変わりは無い。
だから、いちょう祭りに、たくさん屋台が並んでいても、長い行列は出来ていないし、銀杏並木を歩いただけでも、みんな楽しそうにしている。
空の蒼が深みを増し、並木の黄色が翳りだした頃、ビルの上にすっと昇った細い月を、みんなで見れたらもっといい。