瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

根津美術館

根津美術館が、3年半ぶりぐらいで、ついに新創開館した。
今回は“根津青山の茶の湯”という特別展だ。いいのが沢山ならんでた。
男の茶の湯らしく、流石に、堂々とした道具が多い。
一番気に入ったのは、利休の茶杓で、銘は松本。何で松本なのか知らないが、実に素直だ。
茶碗はどれも良かった。
たいがいザクッと大ぶりで、何の飾りっ気もなくて、どこかいびつなやつ。
大量生産的な見方をすれば、とんでもない失敗作が並んでいるようにしか見えないだろう。
もとはメシ茶碗か何かだったのを、よくぞ、ここまで引っ張り上げてくれたもんだ。昔の茶人の審美眼は、やっぱり凄いね。
それから、茶室のある広い庭園に出る。
雨だったんで、庭全体に水をうったようで、紅葉の色も鮮やかだった。
いや本当に、いいひとときを過ごすことができましたよ。
もしも、一つだけやるって言われたら、あの玉子手の茶碗がいいな。
あれを眺めて酒を呑んだら、時のたつのを忘れるね。
ろうそくの火に照らされた姿は、さながら月を見るようだろう。