瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

サザエさん

旧暦、旧暦って言ってるんだけど、江戸時代の生活に戻ろうってことじゃない。
こっちも、古くてせいぜい昭和の暮らししか知らないのに、江戸時代のほうが良かったなんて、言えるはずも無いんだから。
昭和はもちろん、新暦の時代なんだけど、40年ごろまでは、旧暦的な暮らしや情緒が、そこかしこに残っていた。つまり、第一次産業が中心だった時代。
情報っていっても、天気予報や近所の噂話ぐらいで事足りていた頃。出来合いの物は、あんまり無く、材料を手に入れて、たいていの物は自分ちでこしらえていたもんだ。
所得倍増計画日本列島改造論あたりから、何もかも変わっちまった。
あの頃のことが、一番分かりやすいのが、昔のサザエさんかな。
一言でいうと、「物が無くて、人がいる」って感じ。
家は、木と紙で出来ている。親子三代で暮らし、ごはんは家族そろって食べる。隣近所とお付き合いがあり、御用聞きもやってくる。街中はさほど混んでなくて、仕事はどう見ても忙しそうではない。
マンガだから、そう見えるってわけじゃない。そういう世の中だから、サザエさんが生まれたんだろう。
あんな暮らしで、充分楽しく、満足だったんだから、世の中の進歩も、サザエさんレベルで止めといた方が良かったんじゃないかな。