瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

燗酒

昔は、酒って言ったら、燗酒だった。
熱燗って、本当は50度ぐらいのらしいんだけど、出てくるのはほとんど沸いたようなやつで、飲もうとすると、気化したアルコールがものすごく目にしみた。おまけに、上等な酒じゃないから、妙な効き方をしたもんだ。
でも、ここ15年ぐらい、ほとんど燗酒を飲んでない。
吟醸酒が巾を利かせているってのもある。香りが飛んじゃうなんて言ってね。
店の側からすると、燗をつけるのが面倒で、客の側からすると、燗酒が徳利で出てくると、お酌したり気を使うのが面倒だ。
こっちは、ここんところコップ酒ばっかりだけど、たまに純米酒を燗して呑むと、美味いなって思うことがある。まさに、はらわたに染み渡るっていう味わいだ。
燗って言う字は、火と閒でできている。閒って言う字は、門構えに月。間の旧字。つまり、燗酒の味は、火の間合いで決まるってこと。
ちなみに、閒という字は、門のすきまから、月の光がさしている様を表す会意字だ。
夜更けて、月の光差すなか、静かに燗酒をやるなんてのも悪くないね。