瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

蓮根

今が蓮根の旬だ。
見通しがきくって言うんで、最近よく食べる。
京都のホテルの厨房でバイトしてた時、桶の水につっこんである蓮根を顎でさして、「レンコン、吸ってくれ」って板さんが言った。
何でだろうと思いつつ、蓮根を吸おうとしたら、「アホかっ!」ってドツかれた。
「レンコン、(おろし金で)擂ってくれ」っていったのを、イントネーションのちがいで、あやうく吸っちまうところだった。
あと、部活のOBで集まって呑んだ時、先輩が「これ、瞳堂に喰わしたって」と言って、食べかけの蓮根真薯を回して来た。
蓮根を擂りおろし、団子にしたのを揚げて、葛あんをかけたやつだ。
初めて食べたが、すごく上品で美味かった。
「鯛やら海老やら、やたら高いもん使いたがるんは二流の店や。蓮根みたいな、しょうもないもん使こて、旨う喰わせる。こういう店が、ホンマは一流なんや。覚えときや」と先輩は言った。
なるほど、確かにそうかも知れない。
でもね、覚えときやって言うけど、あの店はこっちの行きつけなんだな。
あれは、通夜の帰りの呑み会だった。
蓮は仏への手向けになっただろうか。