瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

和食

こっちの作るイタリア料理は、最近どうも和食っぽい感じがする。
別に、鰹だしを使うとか、醤油を使うとかって事じゃない。
多分、味のバランスのしかたって言うか、調子みたいなものが、和風なんだな。
一昨年、京都の師匠のイタリア料理店に、子どもを連れて行ったら、「お父さんのと、同じ味だ」って言われた。
本当は、そんなはずは無い。
こっちのは、自分のイメージする味になっていて、必ずしも当時の味を踏襲していない。
師匠も、当時の味を離れ、相当に洗練されて来ている。
それなのに、30年近くの年月を経て、京都と東京に同じ味が生きているってのは、偶然の一致じゃない。
絶対音感みたいに、絶対味覚ってのがあるとすれば、そいつが共鳴してるって事だな。
こっちは、お店出してないけど、根っこの部分は受け継いだってことか。
これが、旧暦流ひきつぎの術だ。
師匠は今、京町屋でイタリア料理店をやっている。
それは、ねらったミスマッチじゃなく、あるべきところに落ち着いた、調和の姿だ。
和風の和は、調和の和だからね。