瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

手紙

天袋から、小さな箱が三つ出てきた。
中には手紙が入っていた。おそらく、200通ぐらいある。
大切にとっといたってわけじゃなく、箱は紐でくくられて、2度の引っ越しをかいくぐって、今ここにある。
20年ぐらい前のだから、今でも付き合いのあるのは、三分の一もいない。
当時、手紙を書かなくなったって言われてた割りには、多い方だったかも知れないが、今はめったに手紙を書かない。
読み返してみたら、出来事はほとんど思い出せ無いんだけど、あの頃のぬくもりみたいなものが蘇ってきた。
内容は、とくに用件があるわけじゃなく、どうってことない事が書いてある。
時にさらされて、背景がかすんだ分、思いだけが鮮明に浮かび上がってくる。
みんな、優しかったんだな。
携帯やメール全盛の今と比べれば、あの頃の、2~3日後に届く手紙には、旧暦的な匂いがまだ残っていた。
そうだ、また手紙を始めよう。