瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

留袖

「わたしの着物」って声が、ふと頭の中に聞こえた気がして、あわてて母の着物を出して見た。
蓋もしてない段ボール箱に、何年も入れっぱなしだったが、幸い、虫にもやられてなかった。
何着かのうち、母の里の家紋のついた黒留袖を、母方の家につながるものとしてとってある。
家紋もちがうし、寸法も合わないから、うちのに着せるわけにも行かない。
着るあても無いんだから、処分しちまえばいいんだけど、おじいちゃんが娘のために買ったやつだと思うと、無下にも出来ない。
かと言って、ただしまっといても始まんない。
こうなりゃ、こっちが着ちまうか。
血のつながりから言えば、それが正しいような気がする。
派手な裾模様のところをメインに使って、上手く切り貼りして、何か羽織物にでも仕立ててみようか。
婆娑羅っぽくて、なかなか良いや。
これが、旧暦流ひきつぎの術ってやつだ。