瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

元三大師

天台宗の高僧良源は、正月三日に入寂したから、元三大師(がんざんだいし)って呼ばれている。
角が生えてて、目はギョロギョロ、骨と皮ばかりの、鬼のレントゲンみたいな、妙なお札がある。
これは、元三大師が鬼に変じた姿で、角大師って言って、魔除けの護符だ。
僧の身でありながら、自ら鬼に変じ、魔物を祓おうってのは、ものすごい覚悟だな。
これは、闇の支配する世の中なればこその発想だ。
お札なんて、科学も医学もない時代の、迷信だって言っちまえばそれまでだが、魔物は外にいるんじゃなく、実は心の中に棲む何モノかで、元三大師はそいつをやっつけるために、鬼になってみせたんだろう。
不便利帖を使って、月の満ち欠けと心の動きの関係を見ていくと、心のコンディションの良し悪しの波の傾向が、何となくつかめてくる。
悪いリズムの時に、それをさらに増幅させるような何かが起きるのを、「魔がさす」と呼ぶのだとすると、その魔モノを暴れさせないための装置として、逆に、この月の暦が使えそうな気がする。
魔モノをやっつけるために、鬼に変ずる覚悟は無いんで、魔モノを何とか飼いならす方法はないかと、いつもあれこれ考えてるのさ。