瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

ヒキガエル

小雨の降るなか墓地をブラブラしてたら、どこからか幽かに、クワックワッって声が聞こえてきた。
見たら、大きなヒキガエルが交尾している。
そんなのが、あっちにもこっちにもいて、アスファルトの上も側溝の中も、細長い寒天質につつまれた卵だらけ。
数えたら全部で50匹ちかくいて、オス達が小声でクワックワッって言っている。
その合唱は、目を閉じて聞けば、清い水の湧く山あいを思わせる静けさだけど、ここは南青山。何か不思議な光景だ。
この前、春一番が吹いて、急に暖かくなったから、出てきたんだな。
聞けば、これは毎年のことらしい。
ところで、中国じゃ、月にはヒキガエルがいるって言うんだってね。
冬眠してたのが、春になって土から出てきて卵を産み、オタマジャクシが成長してカエルになり、やがてまた、土の中に入ってゆく。
そのさまが、月の満ち欠けのくり返しを連想させるから、月とヒキガエルがくっついたのかも知れない。
何しろ、ヒキガエルの交尾をじっと見ていたら、生命力っていうのか、強烈な美を感じたね。