瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

茨城の大子町の奥の方に、月待の滝ってのがある。
昔、二十三夜待ちって風習があって、それにちなんだ滝らしい。
二十三夜待ちは、旧暦二十三日の半月の夜に、女の人だけが集まって、飲み食いした行事なんだってね。
二十三夜の三がお産の産に通じるから、安産祈願の講だったのかも知れない。
この月待の滝は、滝の裏側に入り込むことが出来る。
いい塩梅に、滝越しに月が見られたら最高だろうな。
もう一つ、大子町には袋田の滝って有名な滝がある。
今日は途中で、ドシャ降りにやられたけど、そのおかげで水量が豊かになって、強烈なしぶきと音を全身に浴びることが出来た。
あっちに降った雨は月待の滝になり、こっちに降った雨は袋田の滝になる。
やがてそれらは川となり、合してついには海に注ぐ。海の水は蒸発して空の雲となり、再び大地に降り注ぐ。
この巡りは、月の満ち欠けと同じ道理なんだな。
人間だけが、この道理をねじふせて、栄えたつもりが破綻している。
何か変だと思ったならば、もう一度月を見上げよう。
月待ちをした、あの頃のように。