瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

訪れ

最近、襖の向こうに何物かの気配を感じる。
開けてみるけど、誰もいない。
それで、断酒することにした。
感覚をクリアにしようと思ってね。
やっぱり、呑まないとつまんなくて、眠くないのに布団に入った。
仰向けに寝て、仏みたいに胸の上で手を組み合わせる。
頭が冴えてゆき、いろいろな音がやって来る。
「訪れる」とは「音がする」という意味だ。
時の流れを意識しなくなり、ふっと落ちそうになった時、何物かが布団に入ってこようとした。
足で押しやると、フワッと襖の影にかくれ、こちらをそっとうかがっている。
起きようとしたら、闇にスーと消えていった。
その後、何物かは3回ほど訪れた。
実際に訪れたのか、こっちの頭の中だけの出来事だったのかは分からない。
レム睡眠時の夢の一種だったのかも知れない。
ただ、気付こうが気付くまいが、訪れるものは訪れている。