瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

鬼遣

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昔、宮中に鬼遣(おにやらい)って行事があった。
晦日に、四つの黄金の目のある面をつけた方相士(ほうそうし)が、戈と楯を持って「鬼やらい!鬼やらい!」と大声を上げて、鬼を追い払って回った。
これが、今の節分の豆まきの原型だ。
立春が正月って考え方があって、その前日の節分に豆まきをするようになった。
でも、建物の中に鬼が巣くっているわけじゃない。
鬼とは、人の心の中にこそ棲まうものだから。
心の中に凝った鬼(き)を祓う一点を忘れたら、豆まきだ鰯の頭だと言ったところで意味がない。
晦日とか節分といった、陰が極まって陽に転じる一瞬、虚を突いて鬼を追い払うんだな。
特別な術はいらない。
呼吸を正し、目の奥の力を抜き、腹にあるもの全てを吐き出す。
そして、恵方巻きを黙って喰う。