瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

渓斎英泉

高校の頃、浮世絵屋のおやじに気に入られて、好きな絵をやるって言うから、英泉のって言ったら、ウーンと唸って写楽のをよこした。
値段だったのかな。もちろん復刻版だけどね。
以来、写楽は嫌いで、英泉が好きだ。
渓斎英泉を、一言で退廃的と言う。
こっちもそう思ってたけど、実は退廃って何なのかよく分かんない。
乱れくずれたさまだとか、不健全なふうってことか。
そうなんだろうけど、それだけじゃない。
英泉のは、髪飾りや綺麗な着物やら、いっぱい身にまとってるけど、描かれているのはどれも女の性だけだ。
何を着てても、ひっぺがしてえぐり出す、英泉の性こそ退廃なんだろう。
若い頃は、その婀娜っぽさや艶っぽさに魅せられたけど、今はその奥にある何かにひきつけられる。
それが、美か醜かなんてどうでもいい。
いやでも見たくなるもんなんだな。