瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

逢魔が時

夕方、出かけようとして、得体の知れない不安に襲われた。
空は紫色に暮れかかってるのに、建物の壁には、ぼんやり薄赤いものが漂っている。
見るうちに、どんどん暗い影がしのび寄って来る。
昼と夜のはざま、どちらとも言えない危険な瞬間だ。
逢魔が時(おうまがとき)ってやつだな。
闇の世界の住人のはずの魔物に、ばったり出くわしそうな時間。
大禍時(おおまがとき)とも書く。
大いに禍々しい時刻ってことだ。
何とも言えない不安に襲われる。
大きい地震でも来るんじゃないかなんて、何の根拠もなく思ったりする。
この不安の裏にあるのは、早く家に帰りたいって本能なんじゃないかな。
安全で安心できる場所、“家”を“母”と言い換えてもいい。
逢魔が時、それは母恋いのせつななんだな。