瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

河原町のジュリー

当時の京都にいたら、河原町のジュリーを知らない奴はいない。
長い髪の毛はベタベタで、赤黒い顔。
ボロボロの黒い服を着て、いつも裸足で歩いてた。
要はレゲエのおじさんなんだけど、『河原町のジュリー』って呼ばれてた。
浮浪者って言うより、奇人って感じ。
実は大金持ちだとか、目が合うと追っかけてくるとか、いろんな噂があったけど、本当かどうか分かんない。
起きて、メシ喰って、クソして、寝る。
考えたら、みんな同じことじゃねえか。
ただ、身なりを気にせず、人目も気にせず、毎日歩き回ってるジュリー、ちょっとうらやましかったね。
こっちはあの頃、気が散りっぱなしだったから、あんな風に生きられたらって思ったこともある。
1984年2月5日 円山公園にて凍死。享年66歳。
ジュリーはひたすら歩いて、その時を待ってたのかも知れない。