瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

なゐふる

なゐふるってのは、地震のこと。
「なゐ」は「大地」で、「ふる」は「震動する」だから、「なゐふる」は地震
昔は、そう呼んでいた。
なにしろ、土ん中で大鯰が暴れて、地震が起きるって信じられていた。
今でこそ、地震発生のメカニズムは少し分かりかけてきたけど、昔は何も分かんなかったんだから、本当に恐ろしかっただろう。
いつどこで起こるか分かんないし、起きたら止めようがないからね。
なゐふるは怖い。だからそれから逃げようとか、克服しようって発想はあっただろうか。
あったのは、畏れと、「起こらないでください」っていう願いだけだったように思う。
無為無策に見えるけど、この畏れや願いの裏には、日々ちゃんと生きることへの戒めがある。
それが、日本人の美意識の源なんじゃないかな。
世の中がどう変わろうと、なゐふるは起きる。
大切なのは、それをどう受け止めるかってこと。
起きても、起きなくっても、日々ちゃんと生きるってことなんだな。