瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

窪俊満

窪俊満(くぼしゅんまん)の絵を見た。
それらしい名じゃないけど、浮世絵師だ。
北尾派の祖、北尾重政の門人。
それなのに、鳥居派の鳥居清長風の美人画を描いた。
師匠をさしおいて失礼な話だが、鳥居清長は北尾重政の影響を多分に受けてるわけだから、筋の通らないこともない。
今までに何度も見たことのある絵だけど、地味で印象に残らなかった。
“紅嫌い”って言って、紅なんかの派手な色は使わず、墨・淡墨・ねずみ色を主に使った、淡い色合いの絵だからね。
それが今回、生き生きとして、心惹かれる絵に写った。
色数が少なく地味な分、人物の存在、とくに顔の白さが実に際立って見える。
日の光の下では色を失い、月光の下で真実の美を浮かび上がらせる。
そういう絵なんだと、やっと気づいた。