瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

スジャータ

釈迦は6年のあいだ苦行を続けたけど、悟ることはできなかった。
そして、やっとのことで尼連禅河の畔にたどりついた。
そのボロボロの姿を見て、乳粥を食べさせたのが、スジャータっていう娘だった。
粥を喰った釈迦は少し生気をとりもどして、尼連禅河の水で身を清め、菩提樹の下に坐ったすえに、ついに悟ることができた。
こう書くと美しげだけど、実際は相当に異様な光景だ。
ガリガリにやせて、汚くって、どこの誰だか分かんない行き倒れ寸前の男に、飯を喰わせるなんて、なかなか出来ることじゃない。
なかなか出来ないことだけど、やる人は当たり前のこととしてやる。
悟りのために死ぬ寸前までやる男がいる一方、そんな志を持つとも見えない小汚い死に損ないに、メシを喰わせる女がいる。
これは作り話じゃなく、現実だ。
そのことだけが、本当に大事なことなんだろう。
スジャータ、ありがとうよ。