瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

太陽がいっぱい

太陽がいっぱい』を見た。
何年ぶりだろうか。
アラン・ドロンのあやうい存在感と、ニーノ・ロータのせつない曲が、やっぱりいい。
それでも、それら全部ひっくるめて、監督ルネ・クレマンの世界観なんだから、すごいのはクレマンなんだろうね。
原作は『The Talented Mr.Ripley(才人リプリー君)』だけど、映画は『Plein Soleil』で、邦題が『太陽がいっぱい』。
この邦題、誰がつけたのか、抜群のセンスだ。
貧乏人のトム・リプリーが、大金持ちの放蕩息子フィリップを殺して、金をせしめるってお話に、『太陽がいっぱい』と名づけるとはね。
カミュの『異邦人』で、なぜ殺したのかと問われて、ムルソーが言った。
「それは太陽のせいだ」
太陽は時として、人の命を奪うものなんだな。
『お月様がいっぱい』ってのはどうだろう。
月はひとつで充分だけどね。