瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

墓参り

墓参りに行った。
母の命日だったんでね。
井戸の水を、桶に汲んで墓に向かう。
布を水でぬらして墓をふくんだけど、石と思ったことは無い。
頭、顔、腹、手、足と、風呂上りの赤ん坊を、タオルでふくようなつもりでやる。
今日の花は、真っ赤な鶏頭の花と、紫の竜胆が入っていた。
井戸の水を、湯呑に注ぐ。
急に風が出て、なかなか線香に火がつかない。
この風は、雨のまえぶれだ。
菓子を供えて、手を合わせる。
ポツポツときた雨が、急に激しくなってきた。
“じゃ、また”と言って、墓をあとにする。
今夜は、晴れれば丸い月が出る。
近ければ、月見がてら墓に参ることも出来るだろう。
命日やお盆、お彼岸じゃなくても、花が咲いた雪が降ったと言っちゃ、プラッと墓参りに行けるといい。
そんな風に思うようになったのは、ほんの最近のことだけどね。