瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

文字

一日一度は、万年筆を使う。
夜、日記を書くときは、必ず万年筆なんでね。
前は、鉛筆で書いてたけど、大人は万年筆だろうと思って、もう15年ほど続いている。
鉛筆・ボールペン・万年筆・毛筆と、書き上がった字面の雰囲気や印象がちがうのはもちろん、書く時の気の持ちようもちがう気がする。
谷崎先生が毛筆で書いた『春琴抄』の原稿を見たことがある。
改行や句読点が極端に少ない小説で、いわば「間」で読ませる文章だから、原稿を毛筆で書いたのには、なにか特別な狙いがあったんだろう。
活字にしても、たとえば明朝体かゴシック体化で、字面どころか内容の印象まで変わってくる。
でもちょっと、活字にも飽きたね。
江戸時代の艶本なんかは、手書きの文字を彫り師が木版にしたのを摺っている。
そういう出版物も、かつてはあった。
今、万年筆や毛筆で書いたのを印刷した本なんてのがあったら、手放せない大切な一冊になるかもよ。