瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

万年筆

毎夜、万年筆で日記を書いている。
これは、14年前に旧友にもらったものだ。
はじめ、書きにくかったんで、慣れるために毎夜、日記を書くことにした。
だんだん書きやすくなってきたが、最近、ペン先の調子が悪い。
それで、仕事帰りに、銀座に寄ってみることにした。
大通りから2本入ったビルの4階に、アンティークの万年筆屋があり、修理もしてくれるはずだ。
ガチャンと手で閉める二重扉の、壊れそうなエレベーターで上がっていく。
狭い店には先客が4人いて、店主が黙々とペンを修理している。
客は、時間と金に余裕のありそうな初老の紳士ばかりで、居心地が悪い。
やっと番が来て、万年筆を渡すと、ペン先と軸の境目の金属が腐蝕していると怒られたが、あとは特に問題はないという。
結局、洗っただけでポンと返され、財布をだしたら、「いいです」と言う。
礼を言い、それでも物足りなく思いながら帰った。
家で、瓶に入ったブルー・ブラックのインクを吸い上げて、原稿用紙に書いてみる。
最初の書きにくさにもどっていた。
まあ、いいや。