瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

柿渋

昔からある染料・塗料のひとつに、柿渋がある。
これは、青柿の実をくだいて、絞った汁を発酵・熟成させたもの。
赤茶色で、半透明の液体だ。
布や糸を染めたり、木に塗ったりする。
防腐作用があるから、即身仏のミイラに塗ったりしたんだってね。
渋うちわってのがあるけど、あれは柿渋を塗って強度を増したうちわのことだ。
柿渋は、発酵させて作るから、ちょっと臭いのが難だけどね。
最近は、無臭柿渋ってのが出来たから、こっちはそれを使っている。
実際、木や布や和紙に塗ってみると、柿渋だけに、何とも言えず渋い色合いになる。
年季が入ってくると、どんどん深みを増していくしね。
新しい研究の結果、紫外線を防ぐ効果や、消臭・抗菌効果があることが分かった。
それから、シックハウス症候群の原因って言われている、ホルムアルデヒドを分解してくれるらしい。
だから、化学的に合成したものはやめて、なるたけ天然のものを使った方がいい。
忘れ去られたものの中に、まだまだ沢山、先人達の知恵は埋もれているだろう。
そういうの掘り起こして、これからの時代に生かしていきたいもんだ。