瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

出会い

時々、茶事をやるんで、懐石の献立を考えてみる。
奇をてらわずに、当たり前のやつがいい。
それでも、プロはどんな風にやってるのか、本を参考にすることがある。
今は、いろんな本が出ているね。
写真が綺麗だし、料理もこっている。
出版業界も料理の世界も競争が激しいから、人目をひくもの、他とは違うものを見せようとしたがる。
そういうのは、あまり参考にならない。
こっちは、旬の素材を、いじくり回さないのが一番だと思ってるんでね。
結局、本を見るより、魚屋や八百屋の店先を見てまわる方が、献立のイメージがふくらむ。
その帰り道、古本屋の前を通ったら、ある本と目が合った。
分厚い7冊揃いの、相当に古い懐石料理本だ。
縄でくくってあったのをほどいて、パラパラめくってみた。
直感的にこれだって思ったから、めくってみる必要なんてなかったんだけどね。
こんなところで待ってくれていたんだな。
重かったけど、嬉しくって抱えて帰った。
必要なものは、必要とする者の手に落ちることになっている。
それが、出会いというものさ。