瞳堂の月下独酌―blog―

瞳堂主人のブログです

空蝉

“空蝉(うつせみ)”は、セミのぬけ殻のこと。
言葉の響きが、なんとなく切ない。
源氏物語にも、空蝉っていう女が出てくる。
あれも、切ない感じの人だった。
“現人”と書いても、“うつせみ”って読む。
これは、現(うつし)臣(おみ)の約だから、「現世に生きる人間」のこと。
“現人”も“空蝉”も同じ“うつせみ”なら、現世に生きる人間は、セミのぬけ殻と同じってことだ。
人間は、肉体と魂から成り立つって考え方があるけど、案外、魂のない抜け殻みたいな人間が多いってことなのかも知れない。
魂の抜けたような状態のことも、“空蝉”っていうからね。
こんな世の中だからって、空蝉がってる場合じゃない。
空蝉になるのは、いよいよこの世を去る時でいい。
それまでは、きゅうくつでも動きにくくても、この殻の中でもがくしかない。